小説よりも奇なり



















ある日とある会の集まりに
知人を介して急に参加することになった




 
ビルの中にある小さなカフェに
言われた通りに店内に入ると





貸し切りのテーブルはすぐに見つかった
幹事のような人の挨拶で会は始まるが





そのまま誰一人話すことがなく数分が過ぎたが



 


ようやく一人の男性が





ハイブランド風のバッグを
テーブルに置いている女性に話しかけた





「これは本物ですか?」


遠慮のないその男性の質問に





「いえ、実はこれ偽物なんですよ」
躊躇なく答えるその女性





「偽物でも僕には全然わかりませんね‥」
 



 
「偽物だとわかって売られていたり買ったりするのかな?」
感心したように質問を続ける男性に





「バッグどころか……
 実はわたしが今着てる服もそうですよ」





「実は洋裁の心得があるのでブランドや
 人気のデザインを真似て自分で作るのです」





「もちろん、完全に同じというわけにはいかないので
 同じような色の安い生地を買ったりね」
  




 「それに色が違っていたり柄が違っていたりしたら
 それこそ自分のオリジナルの服に見えるんですから…」
 




「なるほど…実にうまい具合に作るのですね」
男性はそう褒め讃えると 






それを聞いていた他の人たちが後を追うように
女性の服を褒め讃えた






その後は会は特別な盛り上がりもなく
予定通りの時間に終了した






わたしは帰宅してからある事が気になった
 


 



会の趣旨は何だったのか
そもそもこの集まりが何の集まりだったのか 






事実は小説よりも奇なりというように
わたしはその事実が気になった
  
 


 
その後も色々と考えている





あの会に自分が誘われた理由さえ解らない 





その場の誰もが知っていて





ただ一人わたしだけが知らないとしたなら
その理由が不思議でならない





だから誘った人に直接尋ねてみようかと思ったが    
現在のところその人から連絡がないまま音信不通
 




だからそれらの事実について
 




万一知ることがあれば
また別の機会にどこかで書いてみたい